贈答文化・マナー「贈答の歴史」について
今回は贈答文化・マナー「贈答の歴史」をご紹介していきます。
目次 1.紀元前:贈答文化はお金よりも歴史が古い2.縄文・弥生時代:贈答文化は進化を遂げていく3.奈良・平安時代:贈答文化は社会にとって欠かせない存在に4.鎌倉・江戸時代:贈答文化は宮廷から武士階級へ5.江戸時代以降:贈答文化の庶民化が進展する6.明治から現代:贈答文化にプレゼントが組み込まれる |
紀元前:贈答文化はお金よりも歴史が古い
食べることにおいて少しずつ余裕ができ飢えることとなくなった時代に、部族同士が余った生産物を交換が始まりました。
ある部族が生産物を提供し、それを別の部族が受け取り代わりになる生産物を置くことで物々交換などの形式で交換が行われ、これが世界中で初めて行われた経済行為となりました。
このようにして贈答は人類の文化発展と共に生じ、貨幣が登場するまでの重要な経済活動となりました。
縄文・弥生時代:贈答文化は進化を遂げていく
時が経ち部族中心の社会から家族(血縁関係)中心の社会への意識の変化が生まれた時期に、本家で神を祭る行事が行われ分家の人々が神に捧げる供物を持ち寄りました。
当時の人々が特別な機会にご馳走を頂戴する大切な瞬間であり、現在でも正月のおせち料理や3月3日の草餅、5月5日の柏餅などがその名残として残っています。
これらの料理は留守を守る人に贈り物として持ち帰られる習慣があり、これが後に贈答に発展していきました。
その後、時代の進展に伴い、酒肴を贈り物として持参する形式が一般化し、現代の贈答文化の基盤が築かれました。
奈良・平安時代:贈答文化は社会にとって欠かせない存在に
奈良平安時代において貴族文化が発展・定着し特に宮廷の影響が強くなっていきました。
現代でも行なわれている多くの行事はこの宮廷文化を背景にしていることが多くあります。
身分制度が生まれ上下関係が強調された中で、贈答は単純な交換の形だけでなく、儀礼的な要素を帯びていき社会にとって不可欠な習慣となりました。
鎌倉・江戸時代:贈答文化は宮廷から武士階級へ
鎌倉時代以降、武士が台頭するにつれて馬や武器、衣装なども贈答品となりました。
貴族階級などに対して贈答は力を誇示する手段として機能し、武士社会の発展に伴い家と家の関係を結びつける重要な役割を果たしました。
そのため婚姻に関する多くのしきたりが生まれてきたのもこの頃からだと考えられます。
武士同士の政略結婚が盛んになり、婚礼に関する多くの慣習が生まれました。
江戸時代以降:贈答文化の庶民化が進展する
江戸時代になると社会が安定し幕藩体制が発展していきました。
武家社会の慣習だけでなく、成功している商人や地主などの経済的に恵まれた層が成長し、贈答慣習が一般化していきました。
この時代の庶民文化の背景には、いくつかの言葉遊びに近いしきたりや慣習が生まれたと考えられます。
また、日本全体で地域ごとに異なる贈答慣習が確立されました。
明治から現代:贈答文化にプレゼントが組み込まれる
明治維新以降、数多くの西洋の文化が取り入れられるようになり贈答文化にも影響を与えました。
百貨店などでの大量販売が可能となり、歳暮や中元の慣習が拡大し、社会的な現象となりました。
個人主義が強調された西洋の文化が導入されつつ、プレゼントと贈答が混同され虚礼廃止の傾向が見られました。
この先もフォーマルギフトからカジュアルギフトへの需要の変化などあるように、時代とともに贈答のカタチも変化していくと思われます。